うぐいすの声にいざなわれて(2)和漢朗詠集を書く

2.どなたの家か

釈文:「誰家碧樹 鶯啼而羅幕猶垂 幾処華堂 夢覚而珠簾未巻」暁賦

書き下し文は「誰か家の碧樹にか 鶯啼いて羅幕なほ垂れる 幾の処の華堂にか 夢覚めて珠簾いまだ巻かざる」

鑑賞:「碧樹」新緑の緑をサファイア(碧玉)にたとえている。「羅幕」幕は薄衣。薄衣のカーテン。「華堂」美しい装飾の屋敷

現代語にすると「春の暁、誰の家か走らないが、庭の新緑にうぐいすが来て啼いているのに、まだ薄衣のカーテンを下ろしたままだ。どこかの華やかなお屋敷の寝室では、夢から覚めてもまだ、優美な御簾が巻き上げられない。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫