真木の戸口に立ちながら(2)和泉式部日記を書いて

2.門をたたいたが

釈文:「門をたたくに、聞きつくる人もなし。きこしめすことどもあれば、人のあるにや、とおぼしめして、やをら帰らせ給ひて、つとめて」

選字は「門を堂ヽ九耳記支つ久類人毛奈し きこ志免寸ことヽ茂あ連八比との阿る爾や 登お寶しめ志弖や越ら可遍らせ多 (多)万非てつと免て」

鑑賞:「きこしめすことども」は他の男たちと浮き名を流しているのではないかという噂。

大意は「門を叩いたが、聞きつける人もない。他の人がいるという噂もあったので、誰かいるのかと思いそっと帰り、早朝に」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社