人生を心ゆくまで味わう(3)陶淵明・飲酒二十首其一から
3.衰えることと
陶淵明の詩の中からよく知られる『飲酒』其一を見ていこう。
詩文は「衰榮無定在 彼此更共之」
書き下し文は「衰栄 定在無く 彼此(ひし)更(こも)ごも之を共にす」
鑑賞:詩形は五言古詩。押韻は之、時、茲、疑、持。
現代語にすると「衰えることと栄えることが、同じところにとどまることはない。あの人もこの人も、変わるがわる衰えたり栄えたりする。」
書は王穀祥(1501〜1568)に倣っている。彼は明、南京長州の人。書は晋人に倣い、王羲之を貶めなかった。
参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社