撰者の定家より書き置いた歌を問われて(8)建礼門院右京大夫集から
8.最後に
「承明門院小宰相本を以って 正元二年二月二日書写し畢んぬ」
鑑賞:「承明門院小宰相」は『新勅撰集』初出の歌人で、まだ詳らかでない。従二位藤原家隆の女。初め土御門天皇に仕え、土御門小宰相とよばれる。のち承明門院女房となる。
これまで院政期以降の家集は出された題によって詠む題詠歌が主流であった。その中で『建礼門院右京大夫集』のような作者の生の声が聞こえるような自伝的な歌集は少ない。しかし作者は、時流である題詠歌を取り入れながら書き進めた。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社