撰者の定家より書き置いた歌を問われて(2)建礼門院右京大夫集から

2.いづれの名を

釈文:「人かずに思ひ出でていはれたるなさけ、ありがたくおぼゆるに、『いづれの名を』とか思ふととはれたる」

選字は「人可春 爾思ひ出でヽい者連たる難さ希あ 梨可多倶お本遊流二以つれ農名を とか思布登え連堂る」

鑑賞:「『いづれの名を』」は建礼門院の女房時代の召名と、後鳥羽院の女房時代の召名。常縁本『徒然草』百四十一段によると、後者は「一院の右京大夫」とあるが、後鳥羽天皇在院中の名は不明である。

大意は「歌詠みの数に入れて尋ねてくださったお心遣いがありがたく思われるのに、その上、『いずれの名でお載せになりますか』と聞いてくださる」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社