老練な女房と平通宗・中将との(6)建礼門院右京大夫集より
6.荻の葉に
釈文:「荻の葉に あらぬ身なれば 音もせで 見るをも見ぬと思ふなるべし」
選字は「荻の葉爾あ羅ぬ身な連八於と毛 せ弖見流を美ぬと思布奈類 遍し」
鑑賞:「荻の葉」秋風が吹くと葉ずれの音をたてるものに詠むしきたりとなっている。例に『後撰集』中務「秋風の服につけてもとはぬかな荻の葉ならば音はしてまし」
歌意は「秋風が吹くと、葉ずれの音で答える荻の葉だが、私はじっと御簾の中であなたと見ていたのに、気付かずに見ていないと思ったのでしょう。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社