平親長と月の贈答歌を(4)建礼門院右京大夫集を書いて
4.あなたにも見てもらいたいと
今宵は十三夜。夜空をお楽しみくださいませ。
釈文:「名にしおふ 夜をなが月の 十日あまり 君みよとてや 月もさやけき」
選字は「名爾し於ふ夜をな可月の十日 阿ま里支美三よ度弖や徒支毛佐や介支」
鑑賞:「名にしおふ」の「し」は強意の助詞。名に負う、有名な。「夜をなが月」は、長月(九月)と「秋の夜長」をかける。「君みよ」は「君見よ」と「十日あまり三夜」をかけ、「九月十三夜」の意をふくませる。
大意は、「今宵は世に知られた秋の長夜の九月十三夜、あなたに見てもらいたいと、月も明るくさやかでしょうか。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社