父君を亡くされた平親長と贈答歌を(13)建礼門院右京大夫集より

13.夜通し嘆いて

釈文:「よもすがら なげきあかせば 暁に 猿(まし)の一声きくぞかなしき」

選字は「夜も須可ら那希支あ駕せ者暁爾 まし能一声機供曽可奈志支」

鑑賞:「なげきあかせば」は助詞の「ば」を添えて順接を表す。「猿(まし)」は建礼門院右京大夫の歌の「猿(ましら)」に同じ。

現代語にすると「夜通し嘆き通して、暁になく猿の一声を聞くのは悲しいものです。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社