父君を亡くされた平親長と贈答歌を(11)建礼門院右京大夫集より
11.晴れる間もなく
釈文:「晴れ間なき うれへの雲に いつとなく 涙の雨の ふるぞかなしき」
選字は「晴連ま難支うれ遍農雲耳い徒 登那久奈美多の雨農布る所可奈し支」
鑑賞:この歌に対応する建礼門院右京大夫の歌が残っていない。紛失したか、あるいは紛れてこの歌が入ったのかは不明である。「いつとなく」はいつという決まりもなく。いつでも。
現代語にすると、「晴れる間もない悲しみや嘆きが雲のように覆って、いつということもなく涙の雨が降るのはつらいことです。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社