辯才老師へ贈った詩を臨書して(12)蘇軾の書

12.私は陶に劣るが

釈文:「我比陶令愧
    師為遠公優」

書き下し文は「我は陶令に比すれば愧ず
       師の遠公為ること優れり」

鑑賞:「陶令」は晋の陶淵明のこと。彭沢の令を務めたのでこう呼ばれる。「師」は辯才のこと。「遠公」は詩題で書いた高僧慧遠のこと。

現代語にすると「私は陶淵明に劣るが、老師は遠公にまさる存在である。」

書風:「比」は大きく書ける字であるが、ここでは小ぶりにして上の「我」や続く「陶」と調和させている。「令」は逆に横を広げてリズムをやや崩して印象的である。

参考文献:蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫