辯才老師へ贈った詩を臨書して(4)蘇軾の書
4.老師は笑って
釈文:「辯才笑曰。杜子美不云乎。与子成二老。」
書き下し文は「辯才笑いて曰く。杜子美云わずや、子と二老と成る。」
鑑賞:「杜子美」は盛唐の詩人、杜甫をその字で呼んだ。引用の詩は『賛上人に寄す』の詩の結びの二句である。「
書風:「杜子美」三字の漢字の書き方には強弱をどこにつけるかに工夫が要る。この場合、真ん中の「子」を軽く柔らかい運筆で受けたことで、「美」の潤筆でがっしりとした字が当たりを払うように威風堂々としている。払いもすぐに力を抜かずに行き届いている。
参考文献:蘇軾集 二玄社
蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫