隆房の中納言へ心置きなく歌を(6)建礼門院右京大夫集を書いて

6.豊のあかりに

釈文:「かきこもる 闇もよそにぞ なりぬべき 豊のあかりにほのめかされて」

選字は「賀支こ裳流や三もよ楚爾曽那里ぬへ支 登よの阿閑利爾ほの免可さ連弖」

鑑賞:「豊の明り」は奈良時代以降、新嘗祭・大嘗祭の翌日に宮中で行われた儀式と宴会。天皇が豊楽殿(のちには紫宸殿)に出て新穀を召し、群臣にも賜った。

歌意は「喪中でこもっていた暗い気持ちもひとごとになりそうなのですが、あなたのお見舞いをいただき、豊の明りの灯明がこちらまでもれて。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社