資盛がかつて蔵人頭だった時に(4)建礼門院右京大夫集を書いて

4.ありしの姿が

釈文:「面影も その名もさらば 消えもせで 聞き見るごとに 心まどはす」

選字は「おも可稀毛曽の那もさら盤消え裳せ弖 聞ヽ見流こと二心まと波寸」

鑑賞:「さらば」は死んだとならば。「さらば消えよ、しかるに消えもせで」の省略された形。

歌意は「目の前にない人がいるように見えるのも、亡くなったのなら、いっそ名も消えてくれればいいのに 消えずにその名を聞き、まぼろしを見るたびに心を乱れさせる。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社