七枚の梶の葉に書いても(2)建礼門院右京大夫集より
2.秋が来るたびに
釈文:「秋ごとに 別れしころと 思ひ出づる 心のうちを星は見るらむ」
選字は「秋こと耳わ可連し故ろと思ひ出 つるこヽ路農う遅越ほし盤見る ら無」
鑑賞:「別れしころ」とは、作者が資盛と別れた頃で、寿永二年秋7月下旬、平家が都落ちした結果、年に一度さえも逢うことができなくなった。自らの境遇と七夕の二星を重ね合わせて思いが深くなる作者である。
歌意は「秋がやってくるたびに、あの人とのつらい別れを思い出してしまう。そのような私を二星は哀れんで見てくれるだろう。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社