七夕の笹に五色の糸をかけて(1)建礼門院右京大夫集より
1.野辺の機織り虫も
釈文:「たなばたに けふやかすらむ 野辺ごとに みだれ織るなる 虫のころもも」
選字は「多那盤多耳遣ふや可春羅無 野へ許と爾三堂れおる奈類む志のこ露もヽ」
鑑賞:「虫のころも」は機織虫が機を織るような鳴き方をしていることからいった。機織虫はキリギリスの別名。『夫木和歌集』に入集された。
歌意は「七夕の今日は機織虫も織った布を供えているのだろうか、いつも野辺の至る所で機織虫が入り乱れて織っているけれど。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社