ほととぎすの初音を聞きながら(3)建礼門院右京大夫集より

3.ほととぎすの鳴く音だけは

釈文:「あらずなる 憂き世のはてに ほととぎす
 いかでなく音の かはらざるらむ」

選字は「あ羅春奈流うき世の者傳二本とヽ
    支須い可弖奈九音能可者ら佐る覧」

現代語にすると、「何もかも、すべて変わってしまった。私のつらく寂しいこの世の終わりに鳴く時鳥の音だけは、なぜ昔と変わらないのだろう。」

鑑賞:この歌は『玉葉集』雑に入集されている。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社