蘇軾の絵画論を書く(7)その一

7.誰がいったのか

釈文:「誰言一点紅
    解寄無辺春」

現代語にすると「誰がいったのか、ほんの少しだけ紅色があるだけではないかと。どこまでも続く春を伝えているではないか。」

鑑賞:中国絵画にとって、重要なことは形を写すことではなく、それを超越したもの、すなわち内実の「気」を表すことであった。人物画では気韻または精神性である。

この筆によって「気」を表す発想は、六朝時代に王羲之に代表される書線から影響を受けたと思われる。王羲之の自由な運筆は当時、革新的な筆法を生み出して、大いに尊ばれた。

参考文献:中国絵画入門 宇佐美文理著 岩波新書