続・前赤壁賦を臨書して(1)蘇軾の意を読む

1.船の上の旗が

この地のすぐ先には三国志で有名な曹操が大軍を率いて船団を並べた場所があった。

釈文:「舳艪千里、旌旗蔽空。釃
    酒臨江、横槊賦詩固一世
    之雄也」

書き下し文は「舳艪千里、旌旗空を蔽う。酒を釃(した)みて江に臨み、槊を横たえて詩を賦す。固(まこと)に一世の英雄なり。」

現代語にすると「船団がはるか遠くまで続き、船上の旗が空をおおいつくすほどであった。曹孟徳は酒を汲んで飲みながら長江に臨み、ほこを横たえてこの詩を作った。まことに一代の英雄である。」

鑑賞:「一世之雄也」一代の英雄の意。字は堂々と揺るぎなく「一」は余白を圧する趣がある。「雄」はやや行意を持ち、リズミカルな運筆が「也」で引き締めている。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社