前赤壁賦を臨書して(13)蘇軾の意を汲む

13.西のかたを望み

釈文:「西望夏口、東望武昌、山川
    相繆、鬱乎蒼々」

書き下し文は「西のかた夏口を望み、東のかた武昌を望めば、山川相い繆い、鬱乎(うっこ)として蒼々たり。」

解説:「夏口」湖北省武漢市の付近で長江に漢水が注ぎ込むあたり。江夏太守黄祖が駐屯して孫策・孫権を防いだ地でその後曹操に敗れた劉備が劉琦と合流した。

鑑賞:「夏」の右払いの力強さによって、動きが感じられる字となっている。また「武」の堂々たる字形と呼応している。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社