前赤壁賦を臨書して(1)蘇軾の意を汲む

1.前赤壁賦とは

前赤壁賦 蘇軾筆 祥香臨

『前赤壁賦』とは寒食詩巻と同じ年、元豊五年(1082)七月に流罪池の黄州を流れる長江の赤壁に遊んで賦を作り、同じ年十月、再び訪れて一賦をなし、両者合わせて『前後赤壁賦』と呼ばれる。

そのうち『前赤壁賦』を溥堯兪に頼まれて翌年に書いたものである。文徴明が冒頭の三十六字を補っている。

両者とも友と連れ立って舟遊びをした楽しさと、きびしい自然に対する畏怖と、人生の悲哀を述べる。賦の中で『三国志』で有名な赤壁の戦いの回想があるが、実際の古戦場はかなり上流の同名の地であった。

参考文献:蘇軾集 大野修作解説 二玄社