続・蘇軾にみる精神性(1)黄州寒食詩巻(其のニ)より

1.春の長江は

黄州寒食詩巻 蘇軾筆 祥香臨

二篇からなる黄州寒食詩巻の其のニである。
釈文:「春江欲入戸
    雨勢来不已」

書き下し文は「春江 戸に入らんと欲し
       雨勢 来たりて已(や)まず」

現代語にすると「春の長江は水量が増えて戸口に迫り、
        雨の勢いはいっこうに衰えない」

解説:「欲入戸」は長江の水が戸口から流れ込んできそうなほど、長雨で水かさが増したことをいう。筆の勢いも力強く、はつらつとしている。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社