西行筆と伝えられる山家心中集は(6)臨書して

6.あはれとも

山家心中集 伝西行 祥香臨

釈文:「あはれとも みる人あらば おもはなむ
    月のおもてにやどす心を」

用字は、「あ者れと母みる人あらはおも者奈无
     月のおもてにやと寸こヽろ越」

鑑賞:文字を選ぶ際に特徴的なのは、一行目の中程の「母」ではないだろうか。大きく横に張り出している。「人」のなかに文字を入れる手法は「関戸本」にもみられるが、一行目末「无」の広がりは雄大である。

参考文献:山家心中集 二玄社