変化に富む筋切を臨書する(1)古今和歌集巻第四巻
1.筋切とは
「筋切」の名の由来は、料紙にあります。東京国立博物館に所蔵されている
本作には、縦に銀泥の線(筋)が四本見られます。これは、もともと歌合の清書料紙を切断して横転させて用いたものと考えられています。
本来は、歌合の清書用として用いるつもりだった巻子本用の料紙の縦線を冊子本の見開きの幅として二つ折りにしました。そのために、下絵も横向きとなりました。
この料紙には飛雲が用いられ、鳥の子に藍と紫の繊維をすき込んだものです。この飛雲紙は雲の形や漉き込まれる繊維によって模様が異なりますが、
制作技術はすでに失われ、現存する品は十世紀から十二世紀までに限られます。
参考文献:書の美 島谷弘幸著 毎日新聞社