同じ境遇の人と平家のゆかりを懐かしみ(3)建礼門院右京大夫集から

3.お別れした後の名残が

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「いかにせむ ながめかねぬる なごりかな
    さらぬだにこそ 雨の夕暮」

選字は、「以可にせむ那可免閑年ぬ流奈こ梨可奈
     佐らぬ多耳こ處阿め農夕暮」

歌意は、「どうすればよいのでしょうか。物思いに耽ってい
     るとお別れした後の名残が惜しくて、耐えられな
     いほどです。ただでさえ雨の日の夕暮は寂しいで
     すのに」

鑑賞:「ながめかねぬる」はじっと物思いにふけることもし
    かねるの意。「ながめ」は「長雨」と掛詞。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社