雪の朝、たちばなの追憶(6)建礼門院右京大夫集から

6.宮中の橘も

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「立ちなれし み垣のうちの たち花も
    雪と消えにし 人や恋ふらむ」

選字は、「立地奈連しみ可支のう遅能多ち花毛
     遊きと消え耳志恋布ら無」

歌意は、「慣れ親しんだ宮中の橘も、雪のごとく消えてしまった
     あの人を、恋い慕っているでしょうか。私ととも
     に。」

雪の日にたちばなを手折って、手元に置いた枝を慕わしく眺めた
資盛はもういません。その想いを橘に語りかけているようです。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社