雪の朝、たちばなの追憶(3)建礼門院右京大夫集から

3.略装の資盛は

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「大内にて雪のいと高くつもりたりしあした、宿直姿の萎
ばめる直衣にて、この木に降りかかりたりし雪を、さな
がら折りて持ちたりしを」

選字は、「大内爾て雪のいと多可九つも里た利し
     あ志多宿直姿の奈えは免る直衣爾て

     この木に降利可ヽり多利し雪を佐奈
     可羅折利ても地多里志を」

大意は、「内裏で雪がとても多く積もった朝に、略装の宿直装束の糊が
     落ちて柔らかくなっていたとき、橘の木に降りかかった雪を
     そのまま落とさずに折って持っていたのを」

ある雪の日に資盛が、手折った橘の枝には降り積もった雪が落ちずに、
残っていました。そのわけを尋ねると、

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社