遠いところへ旅に出ようと（3）建礼門院右京大夫集を書いて

3.また思い出すこと

釈文：「都をば　いとひてもまた　なごりあるを
　　　　ましてと物を　思ひ出でつる」

選字は、「都をはいと飛傳も万多那こ利あ流越
　　　　　まし亭と物を於も日出て徒る」

歌意は、「私のように都を離れたいと思っている者でさえ、旅
　　　　　立つ時はつらいのに、ましてやあの人の都落ちは、
　　　　　さぞかしお辛い思いをしたことでしょう。思い出し
　　　　　てしまいます。」

　資盛との思い出を断ち切ろうと、都を離れる決心をしたもの
　の、いざ旅だつ時はためらいがある作者です。

　参考文献：建礼門院右京大夫集　糸賀きみ江校注　新潮社