大原に建礼門院を訪ねて(4)建礼門院右京大夫集より

4.山道の様子から

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「わりなくてたづねまゐるに、やうやう近づくままに、山道の気色よりまづ
    涙は先立ちていふかたなきに、御いほりのさま、御すまひ、ことがら、す
    べてめもあてられず。」

選字:「王利な久て多徒年まゐ
    類二やうヽヽ近徒久まヽ爾山道の気色より満 
    
    つ涙者先立ちてい布可た奈支に御意本利の
    佐ま御寸まひこと閑ら須遍天毛あ傳ら連
    春」

大意は、「やむにやまれずに、訪ねていくと次第に近づくまま、山道の様子からまず
     涙がこぼれて、言いようがないのに、女院の庵室の様子、お住まい、お暮
     らしの様、全て耐え難いほどひどいものでした。」

 訪ねてはみたものの、その道すがらの有様に動転している作者の様子が伺えます。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社