逢瀬を重ねた思い出の地・北山は(6)建礼門院右京大夫集を書いて
6.一人で物思いに
釈文:「ただひとりながむるに、さまざま思ひ出づることなど、いふもなかなかなり。
れいの、物もおぼえぬやうにかきみだる心のうちながら」
選字は、「多ヽひとり難可無る二佐万ヽヽ思ひ
出つること那とい布も奈かヽヽな利連いの物
も於本えぬやう爾て可記三多流心のうちな可良」
大意は、「ひとり物思いにふけっていると、さまざまに思い出すことなど、言うのも
かえって悲しみの元です。いつものように何もわからなくなったように、
心の中が乱れていくのです。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社