風がおびただしく吹く夢を見て(1)建礼門院右京大夫集を書いて
1.気持ちがゆるむことなく
作者は常にたゆまず資盛を思い続けています。ひとときでも気を緩めてしまうと、よからぬことが起きてしまうと思っているかのようです。
「夜の明け、日の暮れ、なにごとも見聞くにも、かたとき思ひ
たゆむことは、いかにしてかあらむ。さればいかにしてか、
せめて今いちども」
選字は、「夜の明希日の暮れ奈耳こと越三
聞久に毛可多登支於もひ多遊むこと
盤い可爾し傳可あら無佐連八意
か耳志て可勢免て今いち登毛」
大意は、「明けても、暮れても、何と見ても聞いても、ほんのひと時も気持ちがゆ
るむことはどうしてあろうか。どうかして、せめてもう一度だけでも」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社