翼がないのに自然にまかせて飛ぶとは(4)荘子より

4.空虚な心に光がさし

荘子 祥香書

自然にまかせて、翼なしに飛ぶ者のことをさらに述べます。


瞻彼闕者虚室生白吉祥止
 夫且不止是之謂坐馳夫
 徇耳目内通而外於心知鬼神
 将来


書き下し文は、「彼の闕(空)を瞻(み)る者は、虚室に白を生じ、吉祥も
止まるところに止まる。夫れ且た止まらず、是れをこれ坐馳と謂う。夫れ耳目
に徇いて内に通じ、而して心の知を外にすれば、鬼神も将に来たり舍らんとす。」

訳すと、「あの虚を見上げる者は、その空虚に光がさし、福寿の幸福もその静
かな心に集まるのだ。それでも、なお心が騒がしいのは坐馳と呼ぶ。すなわち、
体が座っていて心が走り回っているのだ。

そもそも耳や目が受けた感覚をそのまま心に受け入れるなら、鬼神も集まって
心中に留まるだろう。」
 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波文庫