資盛は蔵人頭に任ぜられたものの(1)建礼門院右京大夫集から

1.世の中が騒がしく

建礼門院右京大夫集 祥香書

いつ別れが来るとも知れない騒乱の中で、
「おほかたの世騒がしく、心細きやうに聞えし頃などは、蔵人頭にて、
 ことに心のひま無げなりしうへ」

選字は、「於本可多の世佐可し具心細きやうに
     聞え志こ楼奈盤久羅う登乃と有

     耳傳こと爾心の飛万無希な里し
     う遍」

鑑賞:資盛は寿永二年一月二十二日蔵人頭に補され、七月三日従三位に叙せ
   られるまで頭であった。(『公卿補任』)そのため、心のゆとりが無く
   落ち着かない様子でした。源氏との戦いに明け暮れる中、資盛も重要な
   地位を担うようになります。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社