たとえ任官しなくても(1)建礼門院右京大夫集を書いて
1.除目とは
4月に入り、入社式や人事異動など春は新しい始まりの季節ですね。平安時代以降
「除目」という任官の儀式が春と秋の二回行われました。春の除目は県召(あがた
めし)除目といい、外官(国司などの地方官)を任命しました。
初めは秋であった司召(つかさめし)は、大臣以外の京官(中央の官)を任命し
ました。ここでは、秋の任官にもれた方から菊の花とともに歌が贈られます。
「冬深き頃、わづかに霜枯れの菊の中に、あたらしく咲きたる花を折りて、
ゆかりある人の司召になげくことありしが、いひおこせたりし。」
選字は、「冬布か支こ路わつ可爾霜可連農菊
の中にあ多羅し九沙き多流花を折利て
遊可りあ流日との司召耳難介久と
あ里志可いひ於こせ多利志」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社