湯治に来た友へ歌を贈る(10)建礼門院右京大夫集から

10.冗談のような

建礼門院右京大夫集 祥香書

 「かへしも、たはぶれごとのやうなりしを、ほどへて忘れぬ。」

選字は、「かへし毛多はふ連こ登のやう奈
     里志越本と遍利春れぬ」

鑑賞:「たはぶれごと」戯れ言に同じで、戯れていうこと。ふざけて言うこと。
   冗談。
   例として「おしなべたらぬ若人どもに、たはぶれごとなどのたまひつつ」
   『源氏物語・箒木』源氏の君が女房たちに冗談を言ってくつろいでいる描写
   があります。

   作者が十首も歌を贈りましたが、輔殿から返ってきたのは冗談のようなもの
   で日が経ったので忘れてしまったと、あっさり終えています。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社