湯治に来た友へ歌を贈る(6)建礼門院右京大夫集から

6.栗も笑う

建礼門院右京大夫集 祥香書

栗も笑み をかしかるらむと 思ふにも
 いでやゆかしや 秋のやまざと


選字は、「栗も笑三越可し閑流らむと思ふ爾
     もいてや遊可しやあ支の山佐と」

鑑賞:「笑み」は笑うこと。から転じて花がひらくこと。果実などが熟して
   割れること。『夫木和歌集』「手にとれば人をさすてふいがぐりの
   ゑみのうちなる刀おそろし」

歌意:栗も割れて興趣があるだろうと思うにつけても心ひかれる秋の山里で
   あることよ。
  「笑み」と「をかし」とをかけて洒落ています。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社