心が体からはなれて(2)建礼門院右京大夫集を書く

2.上の空で

建礼門院右京大夫集 祥香書

もう一首詠みます。
あくがるる 心は人に そひぬらむ
 身の憂さのみぞ やるかたもなき


選字は、「あ具駕流(る)心者人爾所ひぬら無身農
     有佐の三曽やる可たも奈支」

鑑賞:現代の「あこがれる」の元になった語ですが、古の人は異なる意味に用い
   ます。ここでは、心が体から離れてさまよう、上の空になる。の意味です。

   参考に「あくがるる心はさてもやまざくら散りなんのちや身にかへるべき」
   西行『山家集』があります。今は心が我が身を離れて、山桜にあるが散った
   ら、自分に戻ってくるだろうか。

歌意:心は体から離れてさまよってあの人に寄り添っているのでしょう。それ
   なのに私の身の憂さはどうすることもできないのです。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社