かつての小宰相を偲ぶ(4)建礼門院右京大夫集から

4.さぞ、お嘆きでしょう

建礼門院右京大夫集 祥香書

さこそげに 君なげくらめ 心そめし
 山のもみぢを 人に折られて


選字は、「散こ曽遣耳君那希久羅免こヽろ
     楚めし山のもみ遅越人爾折られて」

鑑賞:「山のもみぢ」は小宰相のこと。
   「山」は、大内山(皇居)をさします。
   「折る」は、美女を手に入れること。
   「そめし」「もみぢ」「折られ」は縁語です。

歌意は、さぞ、お嘆きでしょう。心に深く思っていた山の紅葉のような美しい女性を
人に取られてしまって。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社