かつての小宰相を偲ぶ(2)建礼門院右京大夫集から

2.平家物語の小宰相

建礼門院右京大夫集 祥香書

小宰相の話が『平家物語』巻九小宰相身投にあります。
「治承などのころなりしにや、豊の明りの頃、上西門院女房、物見に車二つ
 ばかりにてまゐられたりし。」

選字は、「治承奈との頃なり志耳や豊の明利の
     ころ上西門院女房物見二車二つ者可里
     爾傳ま井ら連た利し」

鑑賞:「治承」は高倉・安徳天皇治世の年号で1177〜81年。
   「上西門院」は統子内親王で鳥羽天皇第二皇女。その女房が小宰相です。
   『平家物語』には、平通盛に見初められながら、その求愛を拒み続けた
   小宰相をたしなめて、仲をとりもった話がでています。

   その後側室となった小宰相が、通盛と後の世まで添い遂げようと、一ノ谷
   の戦いで亡くなった通盛を追って入水するまでを描き、読む者の涙を誘い
   ます。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社