昔の手紙を整理していると(4)建礼門院右京大夫集を書きながら
4.空しい約束
片付けをしながら古い手紙を見つけて、思い出が蘇る作者です。
「なかなかあぢきなきことのみまされば、あらぬ世の心ちして、
心みむとてほかへまかるに、反故どもとりしたたむるに、いかならむ
世までもたゆむまじきよし、かへすがへすいひたる言の葉のはしに
書きつけし。」
選字は、「奈可ヽヽあ地支
なきこ登のみ万佐連者阿らぬ世の
心遅し傳こヽろ三無とて本か爾
遍ま可流反故とも登里し多ヽ
むるにい可那るよ万てもたゆ無ま志支
夜し可邉寸しい日多流言の葉乃
春志に悲き徒介四」
大意は、隆信との関係も進展が見られず、引っ越しをして気分を変えようとする作者は、昔の手紙を見つけます。心変わりは決してするまいと誓ったその手紙の端に書き付けるのです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社