松のように志を高く持って生きよう(6)米芾「擬古」より
6.寒さに耐える松
「青松本無華
安得保歳寒」
書き下し文は、「青松 本より華無し 安くんや歳寒を保つを得んや」
「本無得」 もともと華やかではない
「安得」 どうして得られようか、得られない
「保歳寒」 冬の寒さに耐える
鑑賞:「本」で墨が入り、どっしりとしています。「華」のくさかんむりを大きく展開して「安」で抑え、「得」では小さめにしてリズムが感じられます。
意味は、青松は、もとより華やかではない。華美なものは、どうして冬の寒さに耐えられようか耐えられない。
冬の寒さに耐えて立つ松の姿に思いを寄せて、美しい花は咲かせないものの、志を高く持ち生きる人物になぞられています。
米芾の書は臨書されることが多いですが、なかなか意味を味わうことは少ないように思います。書くことによって、漢詩の魅力をさらに体感することで多くの発見があるでしょう。
参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社