名付けて災いの人というのは(1)荘子を書いて読む

1.災いの人

荘子 祥香書

お前はまだ、人の気持ちがまだ分かっていないのに仁義道徳の言葉を述べれば、他人の悪事をいいことにして自分の立派さを売り込むようなものだ、と孔子が述べました。このことを「災いの人」と名付けて顔回に説きます。

 「命之(人*)曰菑人、菑人者人必反菑
  人*之若殆為人菑夫


書き下し文は「これを命(なづ)けて菑人(さいじん)と曰う。菑人なる者は人必ず反ってこれに菑(わざわい)す。若はほとんど人に菑されんかな。」

意味は、これを名づけて災いの人というのだ。災いの人というのは他の人に害を及ぼすばかりでなく、他人からも害の仕返しをされる。おそらくお前も害を受けるだろうよ。

他人の気持ちも分からないうちに、人に説教をすれば害を及ぼすだけでなく、自分も被害を受けることになるでしょう、とは穏やかならざる事態です。なぜこうしたことは起こるのでしょうか。

 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店