恋人の愛情が信じられず(1)建礼門院右京大夫集を書く
1.出家した兄を思う
建礼門院右京大夫の兄は尊円法師で、比叡山に修行で籠っていました。
「せうとなりし法師の、ことにたのみたりしが、山深くおこなひて、みやこへも出でざりし頃、雪のふりしに
いかばかり 山路の雪の ふかからむ
みやこのそらも かきくらすころ」
歌意は、比叡の山がさぞかし雪が深いことでしょう。都の空もくもり、雪が降る今は。
選字は、「勢うとな利し法師のこ登爾たの見多
利しかやまふ可く於こなひ弖みやこ
遍も出て佐里しころ雪のふり志二
い可は閑利山遅のゆき乃布かヽ
羅無三やこの處ら裳可記具ら
須ころ
作者の兄は出家して、比叡山にのぼり、修行の日々でした。作者にとって、仏門に入ることは身近なことであったと考えられますが、どうされたのでしょうか。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社