資盛のあの時のおもかげ(4)建礼門院右京大夫集を書いて

4.それにひきかえ私の姿は

建礼門院右京大夫集 祥香書

選字は、「かれ乃ヽ於利
     裳能の可里記努万は多のきぬ无ら
     佐支のおり裳乃指貫き弖多ヽひ

     支阿希てい里きた利し人のお
     もかげ王可あ里佐ま耳盤に春」

「枯野の織物」:表が黄、裏が薄青の織ってある衣
想像するに、真っ白な雪の中を枯野の狩衣、紫の指貫をお召しになった公達が何も言わずにスッと引戸を開ける場面です。開けられた身としては、自分の姿と引き比べあまりに見事ないでたちに圧倒される思いでしょう。

自らは、薄柳の衣に紅梅のうすぎぬなどを着て、季節はずれの姿です。色合いもさることながら、衣の生地がなんとも頼りなく思われます。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社