「出師表」諸葛孔明(1)小楷を臨書する
1.祝允明の出師表
孔明の出師表に興味を持った筆者が読んだところ、すっかり魅了されたので書いてみることにしました。調べると、祝允明が出師表を揮毫した書が国立博物館に所蔵されていました。
祝允明は(1460〜1526)父や祖父に学んだ後、魏晋の名蹟を臨摸して著名となった人物です。とりわけ、明代随一といわれる小楷は、魏の鍾繇の影響を受け、風韻が備わり見識が高いと言われています。*①
やや丸みを帯びた楷書は、その形式が定まる唐代以前の隷意を含んだ風合いを持っています。鍾繇は、よく知られた名前ですが、その真跡は明らかではありません。「宣示表」は、彼の小楷と伝えられています。
現代からみると、文字に愛嬌があり、柔らかさが見る者を和ませます。
参考文献:書の歴史 伏見冲敬 二玄社