かな帖の面構成を考える(1)一条摂政集から建礼門院右京大夫集へ
1.書き出しから
かなを書く場合は、和歌を一首二首と単体で書く時と、帖・巻物などのように横に長く書く時があります。今回は、面構成を考えるために一条摂政集を臨書して、特徴を記します。
まず、右側にややお大きくタイトルのように「一条せふさうの御しふ」と書いた後、余白を空けています。書き出しは、「大蔵の史生倉橋の豊蔭口惜しき下衆なれど」
選字は、「於本九らの志佐う久ら八しの
とよ可け久ちをし支希春
なれ登」
『一条摂政集』とは、藤原伊尹(これただ)(924〜72)個人の和歌の歌集です。伊尹が自分を大蔵史生倉橋豊蔭なる人物になって、女との恋の贈答歌をまとめた歌物語です。
原本は、余白をもっと広く取り、雄大です。空間の捉え方が大胆で、これから物語の始まりを感じさせます。
参考文献:一条摂政集 伝西行 名児耶 明解説 二玄社