胡蝶の夢(4)荘子を書く

4.万物斉同の哲学とは

荘子 祥香書

蝶の夢を見たからといって、自分が蝶になったと思ったとしたら、まだ夢の中だと言われるでしょう。しかし、自と他の区別はどうして生じるのか考えたことはあるでしょうか。

多くの人は現実世界にある対立差別を認め、真の姿であると信じています。しかし、と荘子は考えます。そうした人間が勝手に認識し、判断していることが真実の姿ではない、と。

場所が変われば、判断も変化するし、ましてや善悪や美醜の価値は鳥や魚には通用しないわけです。それらは一時的で相対的なものにすぎないでしょう。人が自分を中心に据えて生み出す、我執が現実世界の対立を作っているだけのことであるといえるわけです。

 参考文献:荘子 金谷治校注 新潮社