酒の功徳をほめたたえる(4)董其昌の書
4.董其昌の書風
董其昌は明末の大家というだけでなく、書道史上に重要な地位を占める書家であるといわれています。趙孟頫ー文徴明の古法を追求する精神が、形骸化してきたことを憂い、董は鍾繇・王羲之の再評価を試みました。
董によると、顔真卿の多宝塔碑を十七歳の時に習い、虞世南へ行き、黄庭宣示力帖などを学んだ後、王羲之の真蹟・官奴帖を見る機会があり、得るところが大きかったということです。
彼の書は、筆の渋滞がなく、綿密であることが特徴としてあげられます。上記の書においても、伸びやかで広々としたところがある一方で、じっくりとした味わいが感じられる点があります。
参考文献:書の歴史 伏見冲敬 二玄社