春のおもしろみ(1)声に出したい和漢朗詠集

1.花の下の宴

粘葉本和漢朗詠集 二玄社 祥香臨

春興(春の楽しみ)から
花下忘帰因美景
 樽前勧酔是春風
」白

読み下し文は、「花の下に帰らむことを忘るるは 美景に因ってなり
        樽の前に酔ひを勧むるは これ春の風」

意味は、花の下の宴が楽しくて家に帰ることを忘れてしまう、美しい景色のせいだ。樽の前で互いに酒を勧めるのは、春の風だ。

わが国では、新人のお花見でしょうか。白居易が、同期に合格した仲間と曲江で酌み交わした楽しい春の時を思い出して詠んだと言われています。

 参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社