萌えいづる春になり(3)和漢朗詠集を口ずさむ

3.生き生きした気分

粘葉本和漢朗詠集 二玄社 祥香臨

 三行目の漢詩は「庭増気色晴沙緑、林変容輝宿雪紅

読み下し文は「庭気色を増せば晴沙緑なり
       林容輝を変ずれば宿雪紅なり」

「晴沙」は晴れた日の白い砂
「容輝」は、顔つや、容姿のこと

意味は、「庭にも春のきざしが表れ、生き生きした気分に満ちています。白い砂にも緑の草が生えだしました。林に眼を転ずれば、その姿を変え、残っていた雪も花を映して紅に染まっています。」

緑と紅、雪の白と花の紅が対比され、印象的な詩です。漢詩のもつ端的な表現が、リズムにのって朗詠するのに相応しかったと思われます。