生まれたての春は(4)和漢朗詠集より

4.なごやかな風

粘葉本和漢朗詠集 二玄社 祥香臨

 「先遣和風報消息 続教啼鳥説来由

読み下し文は、「先づ和風をして消息を報ぜしむ
        続いて啼鳥をして来由を説かしむ」

現代語訳は、「生まれたての春は、初めになごやかな風を吹かせて、音信を伝え、次に鳥の声で春が来たよと知らせます。」

「和風」とはなごやかな風をさしています。
時の移ろいが詩の中に入り、待ち望んでいた春の訪れに浮き立つ心が表れています。

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社